第1種・第2種・第3種換気の違い
第1種・第2種・第3種換気の違いとは?住宅換気の仕組みを分かりやすく解説
注文住宅の打ち合わせをしていると、「第1種換気」や「第3種換気」といった言葉を聞くことがあります。
しかし、数字だけを聞いても、
「第1種が一番性能が高いの?」
「第2種は何が違うの?」
「トイレの換気扇は何換気?」
と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
第1種・第2種・第3種という区分は、単純な性能の順位ではありません。
外の空気を室内へ取り入れる「給気」と、室内の空気を外へ出す「排気」を、機械と自然換気のどちらで行うかによって分けられています。
換気方式を理解するポイントは、給気と排気のどちらを機械で動かしているかを見ることです。
今回は、住宅の24時間換気における第1種・第2種・第3種換気の違いや、「2時間に1回空気が入れ替わる」という言葉の意味、注文住宅で換気を考える際の注意点を分かりやすく解説します。
住宅では計画的な換気が必要
現在の住宅は、断熱性能や冷暖房効率を高めるため、建物の隙間をできるだけ少なくする気密施工が重視されています。
気密性が高い住宅は、冷暖房した空気が外へ逃げにくく、外気も無計画に入りにくくなります。
一方で、住宅内の空気も自然には入れ替わりにくくなります。
家の中では、人の呼吸による二酸化炭素、料理や入浴による湿気、生活のにおいなどが発生します。
そのため、必要な場所から外気を取り入れ、決められた場所から室内の空気を排出する「計画換気」が必要です。
国土交通省によると、住宅では原則として、換気回数0.5回/h以上の機械換気設備、いわゆる24時間換気システムの設置が必要です。
「2時間に1回空気が入れ替わる」とは
住宅の換気について、
「2時間に1回、家中の空気が入れ替わるように設計する」
と説明されることがあります。
これは、住宅で原則必要とされる換気回数が、1時間当たり0.5回以上だからです。
1時間で住宅内の空気量の半分に相当する量を換気するため、計算上は2時間で住宅内の空気量と同じ量になります。
ただし、2時間が経過した瞬間に、家中の空気が一斉に新しい空気へ切り替わるわけではありません。
給気口から入った新しい空気は、室内の空気と混ざりながら移動し、排気口から少しずつ外へ出ていきます。
そのため、正確には「2時間で住宅内の空気量に相当する量を換気できる能力」と考えると分かりやすいでしょう。
また、必要な換気風量は、住宅の広さや天井の高さなどから室内の容積を計算し、それに必要な換気回数を掛けて求めます。
設備を取り付けるだけではなく、給気口と排気口の位置、各部屋をつなぐ空気の通り道まで考えて計画する必要があります。
換気で重要なのは、換気扇の台数ではなく、家全体で必要な空気量と流れが確保されていることです。
第1種換気とは
第1種換気は、給気と排気の両方を機械で行う方式です。
外の空気を給気ファンで室内へ取り入れ、室内の空気を排気ファンで外へ出します。
両方を機械で動かすため、給気量と排気量を調整しやすく、計画的な空気の流れをつくりやすいことが特徴です。
第1種換気には、熱交換機能を備えた設備もあります。
熱交換換気は、排出する室内空気が持つ熱を利用し、外から入る空気を室温へ近づけてから給気する仕組みです。
冬に冷たい外気がそのまま入ることや、夏に暑い外気が直接入ることをやわらげられるため、冷暖房効率を重視する高断熱・高気密住宅で検討されることがあります。
一方で、給気と排気の両方に機械を使用するため、第3種換気と比べて設備費用や電気代が高くなる場合があります。
フィルターの清掃や交換、設備によってはダクトの点検なども必要です。
第1種換気を採用する場合は、導入時の性能だけでなく、住み始めてから無理なくメンテナンスできるかを確認することが大切です。
第2種換気とは
第2種換気は、給気を機械で行い、排気を自然換気口などから行う方式です。
給気ファンによって外の空気を室内へ押し込み、室内の空気を排気口から自然に外へ出します。
室内へ入る空気量が多くなるため、建物の内部が外部よりも圧力の高い「正圧」になりやすいことが特徴です。
外から汚れた空気が隙間を通って入り込みにくいため、病院の手術室やクリーンルームなど、清潔な環境を保ちたい施設で採用されることがあります。
一方、一般的な木造住宅で第2種換気を採用するケースは多くありません。
室内の湿気を含んだ空気が、建物の隙間から壁の中へ押し出されると、壁内結露のリスクにつながる可能性があるためです。
住宅で第2種換気を採用する場合は、地域の気候、断熱構成、防湿・気密施工などを含めた慎重な設計が必要です。
第3種換気とは
第3種換気は、給気を自然給気口から行い、排気を機械で行う方式です。
居室などの外壁に設けた給気口から外の空気を取り入れ、トイレ、洗面室、廊下などに設けた換気扇から室内の空気を外へ排出します。
排気ファンが室内の空気を引っ張ることで建物内がわずかに負圧になり、給気口から外気が入ってくる仕組みです。
設備の構成が比較的シンプルで、初期費用や維持管理費を抑えやすいため、一般住宅で採用されることの多い方式です。
ただし、給気は機械ではなく自然に行うため、住宅の気密性が低いと、計画した給気口以外の隙間から空気が入る可能性があります。
その場合、家全体へ計画どおりに空気を流しにくくなります。
また、冬は冷たい外気が給気口から直接入るため、給気口の位置によっては寒さを感じることがあります。
ベッドやソファの近く、エアコンの風と干渉する場所などを避け、暮らし方まで考えて配置することが重要です。
給気口から排気口までの空気の通り道
換気設備を設置しても、給気口から排気口まで空気が移動できなければ、家全体を十分に換気できません。
たとえば、リビングや寝室から取り入れた空気を、トイレや洗面室へ流すためには、室内ドアを閉めた状態でも空気が通れる仕組みが必要です。
一般的には、ドアの下に隙間を設けるアンダーカットや、ドアや壁に通気口を設ける方法があります。
家具やカーテンで給気口をふさいだり、寒いからと給気口を閉じたりすると、計画どおりに空気が入らなくなります。
排気ファンが動いていても、必要な給気が確保されなければ、換気量が不足する可能性があります。
また、給気口やフィルターにほこりがたまると、空気の通過量が減ります。
24時間換気は、設備を設置して終わりではなく、空気の通り道を保ち続けることが大切です。
第1種と第3種はどちらがよい?
注文住宅では、第1種換気と第3種換気を比較する機会が多くあります。
第1種換気は、給気と排気を機械で管理でき、熱交換設備を組み合わせることで、外気温の影響をやわらげやすいことが特徴です。
一方、第3種換気は、設備がシンプルで初期費用やメンテナンス費用を抑えやすいことがメリットです。
どちらが合うかは、住宅の性能や暮らし方によって変わります。
検討する際は、次のような点を確認しましょう。
- 住宅の断熱性能と気密性能
- 地域の夏と冬の気候
- 冷暖房効率をどこまで重視するか
- 設備の初期費用
- 毎月の電気代
- フィルター清掃の頻度
- 将来の部品交換費用
- 設備の運転音
- 給気口や排気口の位置
高性能な設備でも、掃除やフィルター交換が続かなければ、本来の換気量を保ちにくくなります。
反対に、シンプルな設備でも、気密性や給排気計画が適切で、日常的に管理されていれば、安定した換気を行いやすくなります。
換気方式の名称だけで選ばず、その家と家族に合った設備かどうかを考えることが重要です。
換気と気密性能の関係
計画換気を機能させるためには、住宅の気密性能も大切です。
たとえば、第3種換気では、給気口から空気を取り入れ、排気ファンから外へ出す流れを計画します。
しかし、建物に多くの隙間があると、給気口ではなく、床下や壁、窓まわりなどの意図しない場所から空気が入ります。
その結果、給気口から遠い部屋では空気が流れにくくなり、換気の偏りが生じる可能性があります。
第1種換気でも、気密性が低ければ、機械で給排気を行っていても、意図しない隙間から空気が出入りします。
換気設備だけを高性能にしても、建物側の気密施工が不十分では、計画どおりの結果を得にくくなります。
断熱、気密、換気は、それぞれ別の設備や性能に見えますが、実際には深く関係しています。
断熱で熱の移動を抑え、気密で空気の漏れを減らし、換気で必要な空気を計画的に入れ替える。
この3つを一体として考えることが、快適な注文住宅につながります。
24時間換気は基本的に止めない
24時間換気設備は、基本的に常時運転することを前提に計画されています。
冬に給気口から冷たい空気を感じる、運転音が気になる、電気代を節約したいなどの理由で停止すると、必要な換気量を確保できなくなります。
料理、入浴、室内干し、人の呼吸などによって、家の中では毎日湿気やにおいが発生します。
換気を止めると、室内の空気環境だけでなく、結露やカビのリスクにも関係する可能性があります。
寒さや音が気になる場合は、設備を止める前に、給気口の位置、風量設定、フィルターの状態などを住宅会社へ相談しましょう。
設計や調整によって改善できる場合があります。
注文住宅で確認したい換気の質問
住宅会社へ換気について相談するときは、次のような点を確認すると安心です。
- 採用しているのは第何種換気か
- その換気方式を選んだ理由は何か
- 給気口と排気口はどこに付くか
- 各部屋の空気はどのように流れるか
- 必要換気量はどのように計算しているか
- 換気設備は24時間動かすのか
- フィルターはどこにあり、どう掃除するか
- 交換部品やメンテナンス費用はいくらか
- 運転音はどの程度か
- 断熱・気密性能との相性をどう考えているか
換気方式の名称だけでは、実際の住み心地までは分かりません。
どこから空気が入り、どの部屋を通り、どこから排出されるのかを、間取り図と一緒に説明してもらうことが大切です。
まとめ
住宅の換気方式は、給気と排気を機械で行うか、自然換気で行うかによって、第1種・第2種・第3種に分けられます。
- 第1種換気は、給気も排気も機械。
- 第2種換気は、給気が機械で、排気が自然。
- 第3種換気は、給気が自然で、排気が機械です。
一般住宅では、第3種換気が採用されることも多く、居室の給気口から空気を取り入れ、トイレや洗面室などの換気扇から排出する計画があります。
ただし、トイレに換気扇が付いているだけで、第3種の24時間換気になるとは限りません。
給気口、排気設備、空気の通り道、必要な換気量まで含めて、家全体で計画されていることが重要です。
換気設備は、種類の優劣だけで選ぶのではなく、断熱・気密性能や間取り、メンテナンス方法との相性で考える必要があります。
KIKIでは、設備を設置するだけではなく、家の中を空気がどのように流れるかまで考えながら、住まい全体を計画します。
目には見えない空気の流れまで丁寧に考えることが、長く快適に暮らせる家づくりにつながります。