KIKI STAFF 自己紹介

高気密高断熱住宅における照明の“こもり熱”対策|快適性と省エネを両立する工夫とは

公開日:2025/12/30(火) 更新日:2025/12/24(水) 家づくりコラム

高性能な住宅づくりが進む中で、高気密高断熱住宅は今や当たり前になりつつあります。

冬は暖かく、夏は涼しく快適に過ごせる家づくりとして、多くの方が注目しています。

しかし、断熱性能が高いゆえに発生する意外な悩みが、「照明からのこもり熱」。

特にLEDではない照明器具を使っている場合や、密閉型のダウンライトなどを多用している場合、照明から発生する熱が空間にたまりやすくなるという問題が起こります。

本記事では、高気密高断熱住宅のこもり熱のメカニズムや、照明の選び方、設置時の注意点、快適性と省エネを両立する工夫について、解説します。

 

そもそも「こもり熱」とは?高気密高断熱住宅で起こる理由

まずは、「こもり熱」がどのように発生するのかを理解しておきましょう。

密閉性が高いため熱が逃げにくい

高気密高断熱住宅では、外気との無駄な熱交換を防ぐために、すき間を極力なくした設計になっています。

これは断熱・省エネの観点から非常に有効ですが、室内で発生した熱が逃げにくいという側面もあります。

照明器具が小さな熱源になる

たとえLED照明でも、少量ながら発熱します。

ダウンライトや間接照明など、天井や壁面に近い場所に配置されている照明は、熱がこもりやすく、じわじわと空間の温度に影響を与える場合があります。

特に夏場は、冷房効率に影響を与えるため、快適さだけでなく電気代にも関わってきます。

 

照明のこもり熱が起こりやすい場所と原因

以下のような条件が揃うと、照明のこもり熱が顕著になります。

ダウンライトの多用

ダウンライトはスッキリとした空間づくりに役立つ反面、天井裏に熱がこもりやすい構造です。

特に密閉型のダウンライトや、断熱材と干渉する形で設置されたものは、排熱がうまくいかず、局所的に温度が上がりやすくなります。

密閉型照明の選定ミス

密閉型の器具は、虫やホコリの侵入を防げる一方で、放熱性が悪くなりがちです。

特にペンダント照明やブラケット照明などで、光源が囲われたデザインの場合、照明器具自体に熱がこもりやすくなります。

換気や空調設計との不整合

高気密住宅では、計画換気が基本ですが、空調の吹き出し口が照明のこもり熱に対して効果的に作用していない場合、空間の一部がムラになることもあります。

 

こもり熱を防ぐための照明選びと設計のポイント

ここからは、こもり熱を軽減するための実践的な対策を紹介します。

1. LED照明を基本とする

LEDは発熱量が少ないとはいえ、完全に熱を出さないわけではありません。

しかし白熱灯や蛍光灯と比べると、発熱量は大幅に抑えられるため、基本的にはLED照明を選ぶことが前提になります。

特に低ワット数・高効率タイプのLEDを選べば、こもり熱のリスクを最小限にできます。

2. ダウンライトの配置と種類に配慮

■ ダウンライトの工夫:

 - 必要最小限に設置する

 - 放熱設計が施された製品を選ぶ

 - 断熱施工対応(IC認証)のダウンライトを選ぶ

ダウンライトをたくさん使うのではなく、スポット照明や間接照明との併用で光のバランスをとると、熱も分散されます。

3. 通気性を妨げない照明デザインを選ぶ

照明器具そのもののデザインも重要です。

完全密閉型ではなく、放熱構造のある製品を選ぶと、照明本体の温度上昇を防げます。

また、間接照明を使って天井面から離す構造にすると、照明熱が天井裏にこもりにくくなります。

 

高気密住宅ならではの「換気との連動」がカギ

換気システムの吹き出し・吸い込み位置の工夫

照明周辺の空気が滞留しないように、吸気口や排気口の位置を計画的に配置することが重要です。

換気経路の見直し

場合によっては、照明の熱がこもりやすいエリアに局所的な排気設備を設けることも検討材料となります。

夏の暑さ対策としての「照明のスイッチコントロール」

意外と見落とされがちなのが、点灯時間の管理です。

■ スイッチコントロールの工夫:

 - 調光機能をつけて必要な明るさだけを確保

 - センサー式で必要な時だけ点灯

 - 日中は自然光を活かす工夫

これらを意識することで、照明による熱負荷を最小限に抑えることが可能です。

 

施工段階で意識すべき「照明と断熱材」の関係

住宅の施工時には、照明器具周辺の断熱材施工にも注意が必要です。

■ 断熱材施工のポイント:

 - 断熱材が照明に密着しないよう、クリアランスを確保

 - 断熱材と照明の間に放熱用スペースを確保

こうした工夫により、施工後のトラブルや器具の寿命短縮を防ぐことができます。

 

まとめ:こもり熱対策は“照明・断熱・換気”の連携がカギ

高気密高断熱住宅は、暮らしをより快適にしてくれる素晴らしい技術ですが、照明によるこもり熱への配慮も忘れてはなりません。

照明器具の選び方、配置、換気との連動など、設計段階での丁寧な工夫によって、快適性と省エネ性を両立した家づくりが実現できます。

 

  


 

三重県で注文住宅を建てるリビングモチーフキキです。

新築、リフォーム、土地探しはお任せください!
 
 

日々の現場で実際に起きている「お客様の悩み」と「その解決事例」を元に、家づくりの様々なトピックをわかりやすく解説しています。

より深く家づくりを理解されたい方におすすめの限定ページにご招待します。

1ページ (全2ページ中)