今回は「パントリーが物置化してしまう家と、暮らしに役立つ“使えるパントリー”の違い」について、解説させて頂きます。

キッチン横に設けるパントリーは、食品や日用品のストックを効率よく管理するための人気収納スペースです。
しかし実際には、「奥にしまった物を忘れてしまう」「ごちゃごちゃして探しにくい」など、うまく活用できずに“物置状態”になってしまうケースも少なくありません。
この記事では、パントリーが本当に暮らしに役立つ存在になるために、設計・サイズ・動線・収納の考え方を具体的にご紹介していきます。
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▼ 目次
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パントリーが「物置化する」よくある原因
一見便利に思えるパントリーも、使い方次第では“開かずの間”になってしまうことがあります。その主な原因として、以下のようなケースが挙げられます。
- スペースだけ作って、活用イメージがない
- 奥行きが深すぎて、何が入っているのか分からなくなる
- 収納物のルールが曖昧で、管理がしにくい
設計段階で「なんとなく収納を増やしたい」という理由でパントリーを設けた場合、具体的な使い方を想定していないと“とりあえず置く場所”になってしまいがちです。
また、奥行きのある棚は一見たくさん収納できそうですが、奥の物が見えにくく、使わないまま期限切れになる食品が出ることも。こうした「見えない・取り出しにくい」は、パントリーの失敗パターンです。
「使えるパントリー」に必要な3つの視点
後悔しないパントリーづくりには、以下の3つの視点が欠かせません。
■ 1. 収納目的を明確にする
- 食品・日用品・非常用ストックなど、何をどれくらい収納するかを事前に考えておくことが大切です。
- 家族の人数やライフスタイルによっても必要量は異なります。
■ 2. 奥行き・幅・高さの“適正サイズ”を見極める
- 棚の奥行きは、30〜45cmが取り出しやすく、奥に物が埋もれにくくなります。
- 可動棚を採用することで、収納物の変化にも柔軟に対応できます。
■ 3. 使う→戻すが自然にできる動線
- キッチンから近く、動きの中で“ついでに出し入れ”できる位置にあることが理想です。
- 動線が悪いと、結局使わなくなってしまいます。
パントリーのおすすめサイズとレイアウト
パントリーのサイズは、一般的には0.5帖〜1.5帖程度が多く、用途や収納量に応じて選ぶのがポイントです。
■ よくあるタイプと特徴:
- 0.5帖型(壁面収納タイプ):キッチンと一体感のある見せる収納に向く/省スペースでも機能的に使える
- 1帖型(収納室タイプ):家族分のストックや調理器具などを十分に収納可能/奥行きを抑えて“見渡せる棚”にするのがコツ
- ウォークスルー型(通り抜けタイプ):キッチンと玄関や洗面をつなぐことで買い物帰りの荷物をスムーズに収納/回遊動線の中に組み込むと家事効率が大幅アップ
奥行きは深すぎず、45cm以内が基本。また、棚の高さは収納する物に合わせて調整しやすいように可動式を選ぶのがおすすめです。
動線計画が「使えるパントリー」を決める
パントリーを活かす鍵は、家事動線の一部としてどう配置するかにあります。
- キッチンと直結していることはマスト。冷蔵庫との距離も重要です。
- 買い物帰りの動線上(玄関〜キッチンの間)に配置すると、重たい荷物を一時的に置いたり、冷蔵庫に入れる前の一時保管にも便利です。
- 洗面や玄関収納と連携させた回遊動線を取り入れれば、洗剤やティッシュなどの共有ストックもスムーズに管理できます。
よくある後悔ポイントとその回避法
よくある後悔ポイントと、対策方法を具体的にご紹介します。
■ 「なんとなく作った」→物が溢れる
- →収納計画を明確にし、ゾーニングで物の“定位置”を決めておく
■ 「扉を付けなかった」→生活感が出すぎる
- →ロールスクリーンや半透明の引き戸で“隠す収納”にする
■ 「湿気・におい対策をしていない」→食材劣化の原因に
- →換気扇や通気口の設置、調湿効果のある壁材を使う
自然素材を活かしたパントリーで快適収納
見た目だけでなく、空気の質や素材感にもこだわると、パントリーはぐっと快適な空間になります。
■ 自然素材の活用例:
- 無垢材の棚板:木の調湿性でカビを防ぎ、長期保存に安心感
- 珪藻土や漆喰の壁材:消臭・調湿効果があり、食材やストック品にもやさしい環境を保つ
- 自然素材は静電気が起こりにくく、ホコリが溜まりにくいというメリットも
見えない部分こそ、素材の選び方ひとつで“収納の質”が変わってきます。
工務店とつくる“暮らしにフィットする収納”
パントリーは、ただの収納スペースではなく、家事の効率や暮らしの快適さを左右する重要な空間です。
そのため、設計段階からしっかりと目的を共有し、生活動線や家族構成に合わせた提案をしてくれるパートナーが不可欠です。
住まい方に合わせた素材選定や湿気対策、使い勝手の細部まで寄り添ったアドバイスが必要です。
「せっかく作ったのに、結局使わなくなった…」とならないために、自分たちの暮らし方をしっかりイメージしながら、パントリーづくりを進めていきましょう。
日々の“ちょっとした不便”を解消してくれる、頼もしい収納スペースとして、あなたの暮らしにぴったりのパントリーが実現するはずです!
三重県で注文住宅を建てるリビングモチーフキキです。
