落葉樹と常緑樹どっちがいい?注文住宅の庭づくりで考える植栽選びと暮らしやすさ
家づくりを考えるとき、間取りや外観、自然素材の内装に目が向きやすい一方で、住み心地を大きく左右するのが庭や外構の植栽です。
なかでも「落葉樹と常緑樹、どちらを植えればいいの?」と迷う方は多いのではないでしょうか。
落葉樹は季節の変化を楽しめる一方で、葉が落ちる時期の掃除が気になります。常緑樹は一年を通して緑を保ちやすく、目隠しにも向いていますが、重たい印象になったり、日当たりを遮りすぎたりすることもあります。

庭木を見た目の好みだけで選ぶと、「思ったより手入れが大変」「リビングが暗くなった」「道路からの視線が気になる」といった後悔につながることがあります。
反対に、土地の日当たりや窓の位置、家族の暮らし方に合った植栽を選べば、家の快適性や外観の印象を高める大切な要素になります。
この記事では、注文住宅の庭づくりで迷いやすい落葉樹と常緑樹の違い、メリット・注意点、暮らし方に合わせた選び方をわかりやすく解説します。
落葉樹と常緑樹の基本的な違い
落葉樹とは、季節に応じて葉を落とす樹木のことです。春に新芽が出て、夏には葉が茂り、秋には紅葉や黄葉を楽しめるものもあります。そして冬になると葉を落とし、枝だけの姿になります。
代表的な庭木には、アオダモ、ヤマボウシ、イロハモミジ、ジューンベリー、ハナミズキなどがあります。
一方、常緑樹とは、一年を通して葉をつけている樹木のことです。ただし、まったく葉が落ちないわけではありません。古い葉が少しずつ入れ替わるため、落葉樹のように一気に葉を落としにくいという特徴があります。
代表的な庭木には、シマトネリコ、ソヨゴ、オリーブ、シラカシ、フェイジョア、キンモクセイなどがあります。
| 種類 | 基本的な特徴 |
|---|---|
| 落葉樹 | 季節に応じて葉を落とし、一年を通して異なる表情を楽しめます。 |
| 常緑樹 | 一年を通して葉を保ちやすく、緑や目隠しを維持しやすい特徴があります。 |
注文住宅の庭づくりでは、落葉樹と常緑樹のどちらが正解というよりも、植える場所や役割に合わせて使い分けることが大切です。
たとえば、夏の日差しをやわらげたい場所には落葉樹、道路や隣家からの視線を一年中やわらげたい場所には常緑樹が向いている場合があります。
植栽は外観だけでなく、採光、通風、目隠し、日射遮蔽、庭の使いやすさにも関わるため、窓や外構と一緒に考えることが大切です。
落葉樹の魅力は、季節を感じられること
落葉樹の大きな魅力は、季節の移ろいを暮らしの中で感じられることです。春には芽吹きや花、夏には木陰、秋には紅葉、冬には枝越しの光と、同じ木でも一年を通して違った表情を見せてくれます。
落葉樹で楽しめる季節の変化
■ 春は新芽や花を楽しめる
■ 夏は葉が茂り、木陰ができる
■ 秋は紅葉や黄葉を楽しめる
■ 冬は枝越しに光を取り込みやすい
自然素材の家と相性がよい
自然素材の家と落葉樹は、相性のよい組み合わせです。無垢材の床や漆喰の壁に、庭木の影がやわらかく映ると、室内にいても自然の気配を感じやすくなります。
SNSの写真のような完成直後の美しさだけでなく、時間とともに味わいが深まる住まいを考えたい方に向いています。
夏と冬の日当たりを調整しやすい
落葉樹は、日当たりの調整にも役立ちます。夏は葉が茂ることで強い日差しをやわらげ、リビングやウッドデッキの暑さを抑えやすくなります。
冬は葉が落ちるため、太陽の光を室内に取り込みやすくなります。特に南側の庭やリビング前に植える場合、季節に合わせて日射をコントロールしやすいことは大きなメリットです。
子どもが自然に触れるきっかけになる
子育て世帯にとっては、落葉樹のある庭が自然に触れるきっかけになることもあります。新芽や花、実、落ち葉などを通して、子どもが季節を感じながら過ごせる庭になります。
家庭菜園や外遊び、庭での食事など、暮らしの楽しみが広がることもあるでしょう。
落葉樹で注意したいのは、落ち葉と剪定です
落ち葉を掃除する場所を考える
落葉樹を取り入れる際に気になるのが、落ち葉の掃除です。秋から冬にかけて葉が落ちるため、植える場所によっては掃除の手間が増えます。
■ 玄関まわり
■ 駐車場
■ 道路側
■ 雨樋の近く
これらの場所に植える場合は、落ち葉がどこにたまりやすいかまで考えておく必要があります。
隣地や道路への落ち葉に配慮する
隣地や道路に葉が落ちやすい場所では、近隣への配慮も大切です。
✓ 庭の内側に植える
✓ 落ち葉が道路へ飛びにくい配置にする
✓ 掃除しやすい舗装や砂利を選ぶ
外構計画と合わせて考えることで、落ち葉掃除の負担を減らしやすくなります。
成長後の高さと枝張りを確認する
落葉樹は、樹種によって成長のスピードや枝の広がり方が異なります。見た目の雰囲気だけで選ぶと、数年後に大きくなりすぎて窓をふさいだり、隣地へ枝が伸びたりすることがあります。
※注意:植える前に、成木になったときの高さや幅を確認しておきましょう。
定期的な剪定も必要になる
自然な樹形を楽しめる落葉樹であっても、枝が混み合うと風通しが悪くなったり、日当たりを遮りすぎたりすることがあります。
定期的に枝を整えることで、樹木の健康を保ち、家とのバランスも整えやすくなります。
覚えておきたいポイント
落葉樹は少し手間がかかる分、季節の変化を楽しめる植栽です。掃除やメンテナンスを負担と感じるか、暮らしの一部として楽しめるかも、選ぶうえで大切な判断ポイントになります。
常緑樹の魅力は、一年中緑を保ちやすいこと
常緑樹の魅力は、一年を通して緑のある景色をつくりやすいことです。冬でも葉が残るため、庭が寂しくなりにくく、外観に落ち着いた印象を与えてくれます。
目隠しとして活用しやすい
特に、道路や隣家からの視線をやわらげたい場所では、常緑樹が役立ちます。
■ リビングの大きな掃き出し窓の前
■ 玄関まわり
■ 浴室や洗面室の近く
■ ウッドデッキの目隠し
このように、プライバシーを確保したい場所に適しています。
南道路の土地でも役立つ
南道路の土地は日当たりがよい一方で、道路からリビングや庭が見えやすいことがあります。
そのような場合、常緑樹を適度に配置することで、カーテンを閉めっぱなしにしなくても過ごしやすい外構を考えやすくなります。
外観に落ち着きと奥行きを与える
常緑樹は、建物の外観を引き締める効果もあります。シンプルな外観の家に植栽の緑が加わると、やわらかさや奥行きが生まれます。
自然素材の外壁や木製の玄関ドア、塗り壁、板張りなどと組み合わせると、住まい全体に落ち着いた雰囲気をつくりやすくなります。
一年中緑が見える庭は、忙しい共働き世帯にとっても心地よいものです。植える場所や樹種を工夫すれば、日々の手入れに多くの時間をかけにくい場合でも、比較的すっきりとした外構を保ちやすくなります。
常緑樹で注意したいのは、日当たりと圧迫感です
冬の日当たりを遮ることがある
常緑樹は一年中葉があるため、目隠しには向いていますが、植える場所によっては日当たりを遮りすぎることがあります。
特にリビング前や南側の窓の近くに密に植えすぎると、冬でも室内に光が入りにくくなる場合があります。
目隠しを増やしすぎると圧迫感が出る
「外から見えにくくしたい」と考えて常緑樹を多く植えると、室内が暗くなったり、庭に圧迫感が出たりすることもあります。
目隠しは完全に隠すのではなく、視線をほどよくずらすことが大切です。
窓の正面をすべて樹木で覆うのではなく、視線が気になる高さや方向だけに植栽を配置する方法があります。フェンス、塀、植栽を組み合わせることで、圧迫感を抑えながらプライバシーを確保しやすくなります。
常緑樹にも落ち葉や剪定がある
常緑樹も葉が落ちないわけではありません。少しずつ葉が入れ替わるため、年間を通して落ち葉の掃除は発生します。
樹種によっては、実や花が落ちたり、虫がつきやすかったりすることもあります。
成長の早さと管理のしやすさを確認する
成長の早い常緑樹を選ぶと、数年で大きくなり、剪定の手間が増える場合があります。シンボルツリーとして人気の樹種でも、土地の広さや周辺環境に合っていなければ、管理が大変になることがあります。
※注意:植える前に、樹高、枝張り、根の広がり、剪定頻度を確認しておくと安心です。
南側の庭には落葉樹が向いている場合があります
南側の庭やリビング前に植える木としては、落葉樹が向いている場合があります。理由は、夏と冬で日差しの入り方を調整しやすいからです。
夏は強い日差しをやわらげる
夏は太陽の位置が高く、日差しが強くなります。落葉樹の葉が茂ることで、リビングの掃き出し窓やウッドデッキへの直射日光をやわらげ、室内の暑さを抑えやすくなります。
大きな窓を設ける場合でも、庇やシェードと落葉樹を組み合わせることで、採光と断熱のバランスを取りやすくなります。
冬は室内へ光を取り込みやすい
冬は太陽の位置が低くなり、日差しが室内の奥まで入りやすくなります。落葉樹は冬に葉を落とすため、リビングに光を取り込みやすく、日中の暖かさを感じやすい空間をつくれることがあります。
建物との距離を確保する
南側に落葉樹を植える場合でも、樹木の大きさや位置には注意が必要です。窓に近すぎると枝が外壁や屋根にかかったり、落ち葉が雨樋に入りやすくなったりします。
覚えておきたいポイント
現在の木の大きさだけで判断せず、将来の成長を見越して建物との距離を取ることが大切です。
南道路では冬の目隠しも考える
南側が道路に面している場合は、落葉樹だけでは冬の目隠しが弱くなることがあります。
その場合は、低めの常緑樹やフェンス、植栽を組み合わせて視線を調整すると、季節ごとの快適性を保ちやすくなります。
植栽選びで後悔しやすいポイント
成長後の大きさを考えていない
庭木選びで後悔しやすいのは、成長後の大きさを考えずに植えてしまうことです。植えたばかりの木は小さく見えても、数年後には枝が広がり、窓や外壁、隣地に近づくことがあります。
特に狭い庭や駐車場まわりでは、樹高だけでなく枝張りも確認しましょう。
△ 車に枝が当たる
△ 玄関アプローチをふさぐ
△ 隣地へ枝が越境する
こうした問題は、住み始めてから気づきやすい部分です。
土地の環境に合わない樹種を選ぶ
日当たりや土壌に合わない樹種を選ぶことも、後悔につながります。日陰に弱い木を北側に植えたり、乾燥を嫌う木を水はけのよい場所に植えたりすると、元気に育ちにくくなります。
土地の環境に合った木を選ぶことは、メンテナンスを減らすことにもつながります。
虫や鳥、実の掃除を考えていない
虫や鳥への配慮も必要です。花や実のなる木は魅力的ですが、虫が集まりやすい場合や、落ちた実の掃除が必要になる場合があります。
自然を楽しむ庭にするのか、すっきり管理しやすい庭にするのか、家族の考え方を整理しておきましょう。
将来の費用を考えていない
植栽費用は、木の購入費だけではありません。
■ 土壌改良
■ 支柱
■ 剪定
■ 消毒
■ 落ち葉掃除
■ 将来的な植え替え
初期費用を抑えるために小さな苗木から育てる方法もありますが、完成時の見た目や成長管理を考えて選ぶことが大切です。
※注意:庭木は植えた直後ではなく、数年後の大きさと管理まで考えて選びましょう。
注文住宅では建物と外構を一緒に考えることが大切です
植栽は建物が完成した後に考えるものと思われがちですが、注文住宅では早い段階から外構や庭木を含めて計画することが大切です。
理由は、窓の位置、日当たり、視線、駐車計画、玄関アプローチ、給排水設備などが植栽と関係するためです。
窓から見える景色を考える
リビングの窓から見える位置にシンボルツリーを植えたい場合、窓の高さや庭の奥行き、植える木の大きさをあらかじめ考える必要があります。
大きな掃き出し窓を設けるなら、その前に何を見せるのか、どの方向から視線を遮るのかを決めておくと、カーテンを閉めっぱなしにしない住まいをつくりやすくなります。
植栽による日射遮蔽も検討する
採光と断熱のバランスを考えるうえでは、庇や軒、シェードだけでなく、植栽による日射遮蔽を取り入れる方法もあります。
自然素材と庭のつながりを考える
自然素材の家では、室内と庭のつながりを意識すると、素材の魅力がより引き立ちます。無垢材の床からウッドデッキ、庭木へと視線がつながると、室内にいながら外の自然を感じやすくなります。
庭での過ごし方を設計者に伝える
ハウスメーカーや工務店、設計事務所に相談する際は、建物の間取りだけでなく、庭でどのように過ごしたいかも伝えておきましょう。
■ 洗濯物を干す場所
■ 子どもの遊び場
■ ペットスペース
■ 家庭菜園
■ 来客時の見え方
暮らしの具体的な場面を共有すると、建物と外構がつながった自分たちらしい提案を受けやすくなります。
まとめ|落葉樹と常緑樹は「どちらが正解」ではなく、暮らしに合わせて選びましょう
落葉樹と常緑樹のどちらがよいかは、土地の条件や家族の暮らし方、庭に求める役割によって変わります。
落葉樹は、季節の変化を楽しみながら、夏の日差しをやわらげ、冬の光を取り込みやすい点が魅力です。一方で、落ち葉掃除や剪定への配慮が必要です。
常緑樹は、一年を通して緑を保ちやすく、目隠しや外観の安定感をつくりやすい点が魅力です。ただし、植える場所によっては日当たりを遮りすぎたり、圧迫感が出たりすることがあります。
今回のポイント
✓ 落葉樹は季節感や日射調整に向いている
✓ 常緑樹は一年を通した目隠しに使いやすい
✓ 南側には落葉樹、視線が気になる場所には常緑樹が向く場合がある
✓ 成長後の大きさや手入れの頻度まで確認する
✓ 建物、窓、外構、室内からの眺めを一緒に計画する
注文住宅の庭づくりでは、落葉樹と常緑樹を役割ごとに使い分けることで、見た目と暮らしやすさのバランスを取りやすくなります。
南側には落葉樹、目隠しが必要な場所には常緑樹、玄関まわりにはシンボルツリーというように、建物の配置や窓の位置と合わせて考えることが大切です。
植栽は、家が完成した後に足す飾りではなく、日当たり、断熱、プライバシー、外観、自然素材の心地よさを支える大切な要素です。施工事例を見るときは、建物だけでなく、庭木の種類、植える位置、室内からの見え方、手入れのしやすさにも注目してみてください。
家づくりの相談では、「落葉樹と常緑樹のどちらを植えたいか」だけでなく、「庭でどのように過ごしたいか」「どの窓から緑を眺めたいか」「どの程度の手入れなら続けられるか」を伝えると、自分たちの暮らしに合った植栽計画を考えやすくなります。
落葉樹と常緑樹は、どちらか一方を選ぶのではなく、庭に求める役割と暮らし方に合わせて使い分けることが大切です。
COLUMN CATEGORIES
家づくりコラム 一覧
理想の住まいづくりに役立つ4つの視点
| 01 |
間取り・動線計画暮らしやすさに直結する、間取りや日常の動きに関するテーマ。 |
| 02 |
性能・構造・スペック長く安全に、快適に暮らすための断熱・耐震・設備に関するテーマ。 |
| 03 |
インテリア・デザイン・素材空間の雰囲気を形作る内装、外観、無垢材や漆喰などの素材選び。 |
| 04 |
ライフスタイル・家づくりの視点(その他ノウハウ)趣味や将来の暮らし方、予算や進め方に関するその他ノウハウ。 |
