KIKI STAFF 自己紹介

ヒートショックは「浴室」だけの問題じゃない|家全体で防ぐ温度差のない住まいづくり

公開日:2025/12/23(火) 更新日:2025/12/22(月) 家づくりコラム

今回は「ヒートショックは浴室ではなく家全体で防ぐ」というテーマで、解説させて頂きます。

寒い冬になると急増する「ヒートショック」は、高齢の方だけでなく、全年代に起こりうる健康リスクです。

特に住宅の中で起こる事故として、交通事故よりも多いという事実をご存知でしょうか。

 

ヒートショックのイメージイラスト

 

多くの方が「浴室を暖かくすれば安心」と考えがちですが、実はそれだけでは不十分です。

家全体の断熱性能や暖房計画こそが、ヒートショック対策の鍵を握っています。

この記事では、温度差の少ない家づくりの考え方と具体的な対策方法について、わかりやすくご紹介します。

 

ヒートショックとは?その仕組みと起こりやすい場所

ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、失神や心筋梗塞、脳卒中などを引き起こす現象です。
冬の入浴時、暖かい部屋から寒い脱衣所、そして熱いお湯に浸かる…この温度差によって血圧が急上昇・急降下することが原因となります。

 

■ ヒートショックが起こりやすい場所:

 - 脱衣所(暖房がないことが多い)

 - 浴室(断熱が不十分な場合)

 - トイレ(深夜や早朝の使用時)

 - 廊下・玄関(外気と直結して寒くなりがち)

特に高齢者は血圧調整機能が衰えており、ヒートショックによる死亡事故が多く発生する時間帯は夜間〜早朝とされています。

 

「浴室だけ暖める」では不十分な理由

ヒートショック対策というと、浴室暖房を設けたり、脱衣所にヒーターを置くといった対処が一般的ですが、これでは一時的な“対症療法”にすぎません。

根本的な解決には、家全体の温度差をなくす“予防設計”が必要です。

■ 温度差が生じる原因:

 - 浴室と脱衣所が暖かくても、廊下やトイレが寒いと移動のたびに体温が上下する

 - 家族構成によっては、深夜にトイレへ行く高齢者や子どもがヒートショックのリスクを負う

 - 冬の暖房はリビング中心で、他の空間が「無暖房」になっている家が多い

※注意:家の一部だけを暖めても、暮らしの動線に温度差がある限りリスクは解消しません。

 

ヒートショックを防ぐ家全体の温熱設計

ヒートショックを根本から予防するには、「断熱・気密・換気・暖房」を一体的に計画することが大切です。

■ 断熱性能の向上:

 - 壁・床・天井に高性能な断熱材を使用

 - 外気の出入りが多い窓には樹脂サッシ+Low-E複層ガラスを採用

■ 気密性の確保:

 - 隙間風を防ぐことで、せっかく暖めた空気を逃さない

■ 暖房計画の見直し:

 - 脱衣所やトイレにもエアコン・パネルヒーターを設置

これらを実現するためには、設計段階から“温熱環境”を重視する家づくりが必要です。

 

注文住宅でできる!温度差の少ない間取りと設備

注文住宅では、家族構成やライフスタイルに合わせて、間取りや設備を自由に設計できるのが大きなメリットです。

■ 間取りの工夫:

 - 廊下を減らし、リビングと水回りを直結する“コンパクト動線”に

 - トイレや脱衣所も居室に近く、暖房の効率が良くなる配置に

 

ヒートショック対策に効果的な自然素材と仕上げ

素材の選び方によっても、室内環境の快適性は大きく変わります。

■ 自然素材の活用例:

 - 無垢材の床:足元の冷えをやわらげ、スリッパなしでも快適

 - 珪藻土や漆喰の壁材:調湿性に優れ、室温を一定に保ちやすい

 - 天然木の内装:空気を蓄えやすく、断熱補助効果もある

特に三重県のように冬の冷え込みが強い地域では、断熱性能+自然素材の組み合わせによって、体にやさしい住まいづくりが叶います。

 

家族みんなが安心して暮らせる“温度のバリアフリー住宅”とは

ヒートショックを防ぐ家とは、単に“浴室が暖かい家”ではなく、家全体がどこにいても温度差が小さく、自然に快適な空間です。

■ 暮らしの安心ポイント:

 - 小さなお子様の夜間のトイレも安心

 - 高齢のご家族の入浴も安全

 - 朝起きてすぐに活動できる暮らしやすさ

こうした安心・快適な住まいを実現するには、地域の気候や暮らし方を理解した設計提案が欠かせません。

地域密着の工務店なら、三重の気候風土に合った断熱・気密・換気のバランスを踏まえ、ご家族それぞれのライフスタイルに寄り添った温熱設計が可能です。

※注意:ヒートショック対策は“健康な暮らしを支える住宅性能”そのものです。ぜひ、住まいの安心を設計から一緒に考えていきましょう。