奥行きの深い収納、実は不便?
【収納の奥行きは深いほど良い?プロが語る本当の使いやすさ】
はじめに
収納スペースは多ければ多いほど良い、広ければ広いほど便利。
そんな風に思われがちですが、実は「奥行きが深すぎる収納」は不便になることがあるんです。
今回は、注文住宅での収納設計において、「奥行きの考え方」について、私たちの実例を交えながら解説します。
基本は“3尺モジュール”
私たちは、在来工法の木造住宅をベースにしており、基本の柱スパン=「3尺(約90cm)」のモジュールを基準に設計しています。
このモジュールに合わせて収納スペースもつくられるため、収納の奥行きもこの中で調整していくことが基本になります。
服収納のベストサイズは?
服を掛けて収納する場合、多くの衣類はA字型になります。
つまり、奥行き60cm程度が最も使いやすいサイズ。
90cmのスペースがあっても、30cmは無駄になることもあるのです。
奥行きをどう割るか?
収納の裏側にもスペースがある場合、その空間をどう活かすかも考慮に入れます。
たとえば3尺(90cm)を「6:4」や「半分」に割って、両面から使える収納にすることも可能です。
“深すぎて使いにくい”を防ぐ工夫
収納の奥行きは、入れたいものによって決めるべきです。
本、掃除機、救急箱…それぞれに適した奥行きがあります。
にもかかわらず、間取りの都合上、どうしても奥行きが深くなってしまうこともあります。
そんなときには、
・奥行きの中に仕切りを設ける
・スライド式収納で奥まで使いやすくする
など、使い勝手を重視した設計の工夫を取り入れています。
間取りと収納は“セット”で考える
収納は“余ったスペース”に作るものではなく、使いたいもの×場所×間取り全体を総合的に考えた上で設計すべきものです。
プロの目線で見れば、ちょっとした奥行きの差が暮らしやすさを大きく変えることも。
注文住宅だからこそ、「なんとなくの収納」ではなく、「意味のある収納」をつくっていきましょう。