外観デザイン編!④流行り廃りの無いものって?
ALCのデザイン性は?外観の流行に左右されない家づくりの考え方
外観デザインを検討する際、「このデザインは何年後も古く見えないかな?」「ALCってデザインの自由度はあるの?」といった不安を感じる方も少なくありません。
今回は、ALC外壁のデザイン特性や、外観における「流行り廃り」の影響、そして近年注目されている断熱・気密性とのバランスについて、注文住宅を設計するプロの視点から分かりやすく解説します。
ALC外壁のデザインは単調?その理由と選び方のポイント
ALC(軽量気泡コンクリート)外壁は、性能面で非常に優れた素材です。しかし、デザインの自由度という点では、多少の制約があることも事実です。
◎ ALCの基本的なデザイン構造
ALCの表面は、いわゆる「かまぼこ板」のようなフラットな形状に、工場であらかじめ傷やパターンを施してから現場に運ばれます。
そのため、凹凸のある質感や豊かなテクスチャー表現にはやや限りがあります。
塗装仕上げで色のバリエーションを加えることは可能ですが、「塗り壁のような柔らかな質感」や「石調仕上げ」のような表情を求める方にとっては、ALCの表現力が物足りなく感じられることもあるかもしれません。
デザイン重視なら塗り壁という選択肢も
ALCに比べて、塗り壁はテクスチャーの種類や風合いが多彩です。ナチュラルやモダンなど、デザインスタイルに合わせた仕上げがしやすく、表情豊かな外観を好む方に人気です。
ただし、塗り壁は施工時の技術力に左右されることも多く、施工会社の経験値やアフター体制を確認することが重要です。
「流行に左右されない外観」にするには?
家の外観には流行があります。たとえば近年は、黒やグレーなどの落ち着いた色合い・箱型のシンプルなフォルムがトレンドですが、こうした流行に乗りすぎると、10年後に古く見える可能性も。
◎ 時間に淘汰されないデザインとは?
外観デザインで失敗しないためには、「時間に淘汰されてきた普遍的なデザイン」を基準に考えることが大切です。
奇をてらわず、素材や形状に落ち着きがあり、長く愛されてきた建築スタイルをベースにすることで、将来にわたって価値が下がらない美しい住まいになります。
気密・断熱性とデザイン性、どちらを優先すべき?
最近は「UA値」「C値」など、住宅の性能を数値で比較する傾向が強まりつつあります。断熱性能を高めるには、開口部(=窓)を少なくすることが有利であるため、窓の少ない家が増えています。
しかしながら、それが本当に「住み心地の良い家」かどうかは別問題です。
◎ 窓の役割は「風・光・景色を取り入れる」こと
性能だけを優先して窓を極端に減らしてしまうと、風の通り道が断たれたり、外の景色が楽しめなかったりすることがあります。
特に春や秋など、窓を開けて気持ちよく過ごせる季節に、空気が入らない設計ではもったいないですよね。
C値・UA値はもちろん大切ですが、「その家でどんな暮らしがしたいか」を中心に考えることが重要です。
家の価値を長く保つために大切な視点
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ALC外壁は性能面で優れるが、デザイン表現はシンプル
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塗り壁は風合いや質感にこだわりたい方におすすめ
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流行よりも、時間に淘汰されない普遍性あるデザインを
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気密・断熱性能も大切だが、窓のある心地よさも忘れずに
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「数値」ではなく「暮らし」を軸に外観と性能をバランスよく考える
まとめ|あなたにとっての“いい家”とは何か?
住宅は「数値」では測れない価値があります。
見た目の流行や性能だけでなく、風を感じ、光を楽しみ、景色を愛でる暮らしが、住む人の心を満たしてくれます。