家事動線と回遊動線を持つ平屋
スタイル | Style|ナチュラル | Natural
内部空間に対するイメージを漠然ながらしっかりとお作りになられてご来店頂きました本宅のお施主様。
当方作成の図面に対して内観のイメージスケッチを毎度お作りになられ打合せに臨んで頂いておりましたが、本当に『仕事でこういったイメージスケッチをお作りになっておられるのですか?』と何度か伺ったくらい密度の高いイメージ図をお作りでらしたことがとても印象的でした(僕もこの仕事長くなりましたが、こういったイメージ図をお作りになるお施主様もそうそういらっしゃるわけでも無いですし、描かれたとしても今回のお施主様のイメージ図のクオリティは普通ではありませんでした)。
合理的で無駄のない生活・家事動線を持つ4人住まいの為の平屋です。
外観は基本に忠実なオーソドックスとも言えます切り妻の屋根となっております。
玄関部分も加飾的にせずシンプルにまとめ、ただ玄関扉前に濡れない窪み空間を設けております。
またチョットしたことですが、玄関ホールに窓が設置不可の場合(玄関に収納や土間収納が来ると窓の設置は難しくなることが多いです)、玄関ホールにどうやって光を届けるか?ということは考えておくべきことだと言えます(玄関が真っ暗とか、毎度照明が必要なのも出来たら避けたいです)
玄関ホールの1枚です。
どの部屋でも同じことが言えますが扉の天端が揃っていると綺麗だし、天井が高く見えるのも良いですね(こちら天井高2400です)
玄関ホールからすぐアクセスできるランドリー空間です(その奥は脱衣・お風呂となります)。
写真右側のカウンターは洗濯物を畳んだり、アイロンがけをするためでお施主様の身長に合わせて高さを決めて、利き手を確認してコンセント設置としました。
こういったことはごく単純なことでもありますが、せっかくの注文住宅ですので、丁寧に確認したい事項でもありますね(当社では図面だけでなく電気配線の現場確認も実施させて頂いております)。
ランドリー隣の洗面脱衣室です。
最近は脱衣と洗面を分けたり、ランドリーを設けたりする計画のご希望が増えております。
洗面横棚はチョットしたもの、いつも使うモノ、ストックの物などを置いてもらうようです。難しい事でもありますが、棚はどこにどんな目的でということが鮮明であればあるほど後々便利にお使い頂けることになる可能性が高いです。
洗面脱衣室からランドリー方向の1枚。ここで注目して頂きたいのは収納の奥行です。
在来木造の場合、910ピッチか1000間隔で柱が立つわけですが、全ての収納にその奥行きが必要ということではありませんので、収納の奥行きをキチンと考え、なるべく無駄がないように考えていくことが肝要だと思います。
南側から北向きに撮影されたリビング全景です。
今回のテーマカラーは木の色を除くと白×グレイ×黒だったのですが(このようにテーマカラーを持つのは全体感が作り込みやすいです、また色数を増やし過ぎるとコントロールが難しくなりますので要注意です)、それをお感じ頂けるのではないかと存じます。
また、平屋ならではのことになりますが、リビングは天井高さ3000とさせて頂き、LDKの中でメリハリのある雰囲気になったもの考えております。
天井高さのコントロールの為もあり、こちらではライティングレールを多用した照明計画とさせて頂きました。
完全オリジナルで本宅為のだけに製作されました家具をご覧頂きたいです。
壁付けキッチンの場合、収納関係をどうクリアするのかがとても大切で、そこをどうやって解決し楽に家事が出来るかを事前に十分考えておく必要があります。
また天板はステンレスとさせて頂き、この製作家具の上でもパンをこねたりなどの作業が出来るようになっております。
引き出しは毎日使う什器、テーブル横に見えるコンセントはホットプレートに使用時などを想定しております。
リビングと言うパブリック空間からプライベート空間となる個室へのアクセスの廊下も最小とし、ルーバー奥の空間はご主人様の書斎空間とさせて頂き、リビングと緩やかに繋げ孤立しないという軸で考えていきました。
(静かにひとり集中したいという書斎の場合はやはり個室とさせて頂くことが多いです、そのあたりはお好みと家のコンセプト次第かと)。
チョットしたことですが、キッチン本体と吊戸+換気扇の色を敢えて揃えずということが結構空間に良い影響を与えておりますことご覧頂ければと存じます。
また壁付けキッチン奥の空間はパントリーとさせて頂き、キッチンとパントリーを直線的に結ぶことで、短い動線でキッチンからパントリーにアクセスすることを実現しております。
キッチン側からリビング方向の1枚です。
掃き出し窓は防犯窓とさせて頂いております。
言うまでもなく平屋の場合、セキュリティと言う軸を色々な側面から考え、建物で防げるトラブルを避けるように煮詰めていくということは昨今ではとても大切な事項になります。
書斎空間のルーバーは縦方向タイプ細目とさせて頂き、この家ならではの繊細な空気感から逸脱しないように慎重にセレクトしていきました。
お施主様がとても気に入ってくれてのブラケットライト照明は光の拡散の仕方がとても印象的ですね。
またトイレの奥行方向も利用して棚を設置させて頂きました。木造住宅の場合トイレ長手方向寸法は芯々で1820ないしは2000となる場合が多いと思いますが、これは本宅のように、もう少し絞っても大丈夫ですので(窮屈にならない)色々な工夫をして考えていくのも有りと思います。
結果良い意味で、非常にスタンダードで普遍性を持つ一般解のようなお宅になったものと自負しておりますが、これは本当にお施主様との二人三脚の結果であり注文住宅の醍醐味を再認識させてもらったように感じております。
やはり世界にふたつとないものを作るという部分で(しかもお施主様にとっては一生に一度の機会です!)注文住宅は難しいことも沢山ありますが、楽しいこともとてもとても多いですね!
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